日本海の潮風に約100年間耐え続け、 7月に架け替えられた余部鉄橋「長寿」の秘密は?
引退の鋼材、大学に人気
日本海の潮風に約100年間耐え続け、 7月に架け替えられたJR山陰線の余部鉄橋(兵庫県香美町) の鋼材が大学などに渡り、 貴重な研究材料として第二の人生を送ろうとしている。 頑丈だった鉄橋の“長寿” の秘訣を探ろうと鋼材の引き受け要請が大学や研究機関から殺到、 ほかの橋の維持管理に生かそうと、 秋ごろから研究が本格化する見込みだ。
余部鉄橋は米国製の鋼材を輸入し、1912年に完成。 地上から高さ約41メートルの壮大な景観が人気を集めたが、 強風でも列車が安全に通過できるよう新しいコンクリート製の橋に 役目を譲った。
鉄橋の一部は現地で展望台に生まれ変わる計画だが、 撤去された鋼材を引き受けたいと研究機関から要望が殺到。 JR西日本から京都大や鉄道総合技術研究所(東京) などへの提供が決まった。
戦後の高度成長期に建設された鉄橋が今後相次いで寿命を迎えると 予想されている。専門家は、 余部の鋼材の腐食や補修の状況を調べ、 橋を長持ちさせる技術を確立したいと期待を寄せる。
京都府八幡市にある大阪工業大の研究施設には今月20日に橋げた や橋脚が到着。松井繁之特任教授は「 今に比べ鋼材の強度が低い分、橋げたは頑丈に設計されている。 補修を繰り返して、大事に使われてきたのが分かる」と話した。
広島大大学院の藤井堅教授(維持管理工学) は橋げたの鋼材に力を加えて強度を調べる方針。「 効率的な補修方法を探りたい」と意気込みを語るが「 橋を守ってきた人たちの思い入れが感じられ、 破壊試験はもったいない気もする」と話している。
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