2010/01/05

Nominates in the 142th Akutagawa Prize




芥川賞候補に共作…大森兄弟「犬はいつも――」

芥川賞候補になった大森兄弟。左が看護師の兄、右が会社員の弟

 第142回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の候補作が発表された。

 芥川賞候補には、愛知県生まれの看護師の兄(34)と会社員の弟(33)が、「大森兄弟」のペンネームで共同執筆した「犬はいつも足元にいて」(文芸冬号)が入った。共作が候補作になるのは初めて。

 「犬は――」は兄弟のデビュー作で、離婚して家を出た父の残した犬と暮らす中学1年の少年が主人公。友人関係のトラブル、公園での不思議な人物との出会いを不穏な気配を漂わせながら描き、昨秋、文芸賞を受賞した。

 10年ほど前、遠藤周作の小説を読んで自分も書いてみたいと思った弟が習作を兄に見せ、兄がアドバイスしたのが共作の始まり。明確な役割分担はないという。2人で書いた3作目となる候補作は、兄が書いた数枚に弟が肉付けして返すというキャッチボールを20回近く繰り返した。

 他の芥川賞候補作は、羽田圭介「ミート・ザ・ビート」(文学界12月号)、藤代泉「ボーダー&レス」(文芸冬号)、舞城王太郎「ビッチマグネット」(新潮9月号)、松尾スズキ「老人賭博」(文学界8月号)。

 直木賞は、池井戸潤「鉄の骨」(講談社)、佐々木譲「廃墟(はいきょ)()う」(文芸春秋)、白石一文「ほかならぬ人へ」(祥伝社)、辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」(講談社)、葉室(りん)「花や散るらん」(文芸春秋)、道尾秀介「球体の蛇」(角川書店)。

 選考会は14日午後5時から、東京・築地の新喜楽で行われる。



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