準天頂衛星「みちびき」打ち上げ
米国のGPS(衛星利用測位システム)を補う準天頂衛星の初号機「みちびき」が11日午後8時17分、国産大型ロケット「H2A」18号機で宇宙航空研究開発機構(JAXA)種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げられた。みちびきは約30分後に予定軌道に投入され、打ち上げは成功した。
みちびきは日本初の測位衛星で、毎日約8時間、日本のほぼ真上(準天頂)を飛行する。GPS衛星だけでは、高層ビルなどに信号が遮られて正確な測位ができない時間帯が生じるが、準天頂衛星と組み合わせれば受信障害はほぼ解消できる。ただし、24時間の利用には最低3基が必要。
みちびきは2種類の補強信号を発信。測位精度は約1メートルと約3センチで、既存のGPSの約10メートルから大幅に向上する。カーナビの高度化、高齢者や子供の所在確認など多方面での利用が期待され、技術・利用実証を行う。
みちびき関連の総費用は約735億円。みちびき級の測位衛星を7基程度打ち上げれば、日本周辺に限定した「日本版GPS」を構築できるが、2号機以降の計画は未定だ。
安全保障の観点などから、米国に依存する現状への懸念がある一方で、費用負担をめぐって官民や省庁間の調整が難航した経緯がある。日本版GPSの構築には最低でも今後、2千億円程度は必要とみられる。政府はみちびきの運用を踏まえ、来年中に2号機以降の是非を判断する。
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