2010/01/25

A Letter from A Financialist


■オバマ政権もポピュリズムに走るのか?!





先週後半の市場の話題といえば、米国オバマ政権が打ち出した大手金融機関に対する新たな規制案です。ポイントは2つで(1)預金を取り扱う金融機関に対し、ヘッジファンドのような市場でのリスク投資を禁止するというものと、(2)負債の規模の制限、つまり全米で預金シェアが10%を超えることになるような合併を認めなくするというものです。前者は銀行が過剰なリスクを取って破綻するようなことが起きなくすることを目的としたものであり、後者は「大き過ぎて潰せない」というような巨大銀行の登場を阻むためのものと言われています。
リーマン・ショックで傷ついた金融機関に公的資金を大量に注ぎ込み、金融危機の拡大を食い止めたまでは良かったわけですが、その結果、急速に業績を回復した金融機関が再び高額な報酬(日本の金融機関では想像もつかないような高い水準)を払い始めたことに対してウォール街批判は高まっています。日和見的対応と指摘されてもやむを得ないほどに今回は唐突感を否定できず、やはり支持率低下に悩むと、オバマ政権と雖もポピュリズムに走りたくなるのかと感じます。
週初にマサチューセッツ州で大事な民主党議席を補選で共和党に明け渡し、上院での審議妨害を排除できる安定多数(60議席)を割り込んでしまったオバマ政権としては、今秋の中間選挙までに何とか態勢を立て直し、支持率を回復しないとなりません。唐突に今回の金融新規制案が打ち出された背景にはそうした政権内部の焦りがあるのではないでしょうか。


■金融機関の次に標的になるのは?


だとすると、もし今回の金融新規制案が上述のように支持率低下に悩むオバマ政権のポピュリズム志向に関わるものだとしたら、次の標的になるのは何かを考えておく必要があります。この意味においても、18日から始まった我が国の通常国会が、首相や小沢民主党幹事長の「政治とお金」の問題だけに終始するようだと、日本市場のせっかくの回復はどこかで大きく水を差されかねません。決して「政治とお金」の問題を適当に早く片付けろという意味ではなく(この問題はこの問題として、別に行を割かないとならない由々しき問題です)、「普天間基地問題」に絡んで日本が次の標的になる可能性があるということです。普天間基地問題は環太平洋の米軍再編ロードマップに深く関わっており、そこにはやはり米国の国家予算(税金)が当然大量に費やされています。ここに米国内世論の目が向いたら、支持率低下に悩む政権が次に繰り出すカードはなんでしょうか?
 
(出典:Bloomberg)
<チャートはドルとユーロのこの1年間の日足です。--------昨年8月の頃の水準までユーロが売り込まれていることが分かります。ただ週末にはやや反転していますが…。>










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